タイ駐在コボリの驚異の日常

ディープな海外駐在の裏側

タイの結婚式 有名バンドのコンサート並みの会場

 3年前の話。

 優秀な若手社員の一人が結婚をするので、パーティーに来て下さいと招待状を頂いた。タイでの結婚式は何回か経験がある。新郎側の会社の来賓ということで、軽くスピーチすればいいんでしょと思い、気軽にOKと返事をしておいた。

 

 平日の夕方スタートという、ちょっと変わったスケジュールだと思いながら、その日は仕事を早めに切り上げて会社のスタッフ10人くらいでクルマに分乗して現地へ向かった。場所はサムットプラカーン。新郎の実家エリアらしい。

 

 現地に着く前まで、会場がどこで、どんなスケジュール進行で、自分は何をするのか等々の詳細は聞いてなかったが、これがそもそもの間違いだった。タイに来た最初の頃は、新郎側の来賓として恥ずかしくないように段取りをしっかり聞いて、且つタイの習慣上の失礼にあたるような言葉や振る舞いがスピーチに含まれてないのか等々、しっかりと研究・リハーサルして臨んだものだったが、何度も結婚式に出て慣れてきた自分には油断があった。

 

 1時間半ほど車に揺られ、会場に着いたらそこは、

 見たことないくらいの数のテーブルが並んだ大会場だった・・・・。

 

 田舎のスポーツ施設の体育館を借り切って、ステージを前にして数えきれないテーブルが並んでおり、一部のテーブルは建屋に入りきらなくて屋外にもかなりの数が並べられている。音響装置や照明装置、スモーク等の演出スタッフだけで20人はいる。

 

私(なにこれ!?、誰のライブ?って規模やん・・・・)

 あわてて、今日何人来るの?って聞いたら

新郎「プラマーン(だいたい)1,000人?」

わし、そんな大人数の前で歌ったこともスピーチしたことも無いよ。この時点で、全くノープランで来た自分バカバカ。とりあえず、スピーチ前までほとんど酒も飲まず、一心にスピーチ原稿を頭の中で作って脳内リハーサル。新婦側の来賓の挨拶が始まるが、地元の警察署長とか区議会議員とか何やら偉いさんが出てドッカンドッカン笑いをとってる。やばい、あんなにウケるわけない・・・。

 

 私の緊張感はMAXな状態のまま、照明でまぶしいステージ上へ引き上げられた。

出席者「お、イープン(日本人)やん。」

出席者「ほんまや、ほんまや」

 ってな感じで、皆さんが私が何をしゃべるのか聞こうと、一斉にこっちを向く。

私(良いんですよ、是非そのままご歓談を続けてくださーーい!!)

 という心の叫びもむなしく、静まり返る会場

 

 お決まりのプアンマーライを新郎新婦の首にかけてあげた後、ド緊張と静寂の中、英語でスピーチを開始。弊社のスタッフがそれをタイ語に翻訳してくれた。

 新郎が優秀な営業マンであること、会社での仕事ぶりにふれた後、奥さんきれいね、今年はボーナスアップするからね~のネタがややウケのしょっぱい結果であった・・・・・・。

 

終わってからテーブルに戻ってスタッフとヤケ酒。

私「あんなのでよかったのかいな~?」

タイ人スタッフ①「いいんですよ。誰も英語わかんないし(笑)」

タイ人スタッフ②「結婚式で新郎の来賓が外国人って、なんか外資系っぽくてOK」

 

なるほどね。結局わたしは、外国人が来賓で来てる~みたいなお飾り=パンダ的な役割なのね。自分の求められている役割を理解し、きっちりと責任を果たせた夜であった。